我が国の人口推移は、戦後60年でピークに達し、その後の減少スピードは、災害や戦争による減少幅よりも大きく、かつ長期継続的なものになることが既に確定している。
この人口減少の原因について、豊かさが原因という説がよく言われている。
ある程度の経済成長を遂げた国家は人口増加が抑制されるという説であり、すべての先進国が少子化に向かっている現状から、まことしやかに囁かれているが、そうではないデータがあるらしい。
女性の地位が向上した国が少子化に向かっているというデータがある。
少子化の波が先進国以外にも拡がっているらしい。
世界中の女性に希望する子供の数を聞くと、宗教や貧富の差に関係なく、ほぼ全ての国で2、3人程度の結果になるらしい。
女性の地位向上には、ある程度の教育水準も必要であり貧富の差は無関係ではないが、人口減少の原因としては、豊かさが原因と言うよりは、女性の地位向上の方が実態に即しているということだろう。
前回の記事で江戸時代後期の日本人の表情を紹介しました。
私は江戸幕府成立後の歩みと戦後日本の歩みは似ており、大いに参考になると考えています。
長い戦国時代の後の江戸時代前期は、大型の公共事業が続き、人口だけでなくGDPも大きく伸ばすような経済成長を続けました。
その後が現代社会と異なる部分です。大型の公共事業を一通り終えた後は、次男以降の男子を都市部に送る等の方法で人口をコントロールしていました。このような方法は、江戸だけではなく、歴史上は様々な国で行われていたようです。
また、リサイクルやレンタル業の広がりに代表されるようなシェアの文化、生産者や社会的弱者にも配慮した、GDPの伸びが見られないような経済のあり方が、幸福度の高い社会の構築に役立ったと考えています。
戦後日本は、プラザ合意によって生産活動を抑制されました。
既に出生率は危機的な水準にありましたが、有効な対策を取ることなく、産業界においては人材の育成を止めてしまいました。
一般的に人口減少の原因は、豊かさや女性の地位向上にあると言われていますが、私は責任感の欠如にあると考えています。
外圧の影響を大きく受けるようになった現代社会において、発想はグローバルに持ちつつ、実践はローカルにという視点と、強力な実行力が必要と考えています。
釧路市では、子育て予算を出し渋る市長に対して、議会が全会派一致で拡大を要望する事件がありました。
このような子供医療費無償化の流れは、子育て予算拡大のために地方から声を上げた人がいて、その活動が全国に波及したことで出来た流れです。
15万人余りとなった釧路市の中に、グローバルな視点を持った人はいるのか、全国に波及するような次の提案を出来る人はいるのか、そして何より、その発想を後押しする力があるのか、私は、まだまだ力があると信じています。
例えば途上国に、日本のような先進国に憧れて一生懸命頑張っている若者達がいて、頑張り抜いた先に現代社会の先進国と同じような混乱と衰退が待っているのだとしたら、とてもやるせない気持ちにならないでしょうか。
私は人生をかけて人口減少社会に挑戦したいと思っている。
責任感のある大人達が構築する、人口のコントロールされた、幸福度の高い社会を実現したいと思っています。
子供達のために精一杯頑張ります。